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2014/1/15

経済産業情報

新薬の3件に1件がバイオ医薬品に

この記事の要約

製薬業界でバイオ医薬品の重要性が高まっている。研究開発型製薬工業会(VFA)加盟企業が2013年に進めていた薬効成分プロジェクトに占めるバイオ医薬品の割合は31%に上り、2005年(12%)の2.5倍に拡大した。世界のブ […]

製薬業界でバイオ医薬品の重要性が高まっている。研究開発型製薬工業会(VFA)加盟企業が2013年に進めていた薬効成分プロジェクトに占めるバイオ医薬品の割合は31%に上り、2005年(12%)の2.5倍に拡大した。世界のブロックバスター(年商10億ドル以上の医薬品)ランキングで12年にトップとなった関節リウマチ治療薬「ヒュミラ」もバイオ医薬品だ。ただ、上市までの道のりは決して平たんでなく、多くのバイオ企業が資金調達に苦労している。7日付『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。

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順調な展開をみせているのはMorphosys(マルティンスリート)だ。同社は昨年6月、英グラクソスミスクライン(GSK)、米Gelgeneと相次いで提携し、9月の増資による8,400万ユーロを含め総額1億3,000万ユーロの資金を調達した。また8月にはノヴァルティスと共同開発した新薬が米国食品医薬品局(FDA)からブレークスルー・セラピーに指定された。ブレイクスルー(画期的新薬)の指定を受けると新薬の審査期間を短縮できるため、承認への期待が一気に高まる。

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一方、バイオ医薬品開発のEvotec(ハンブルク)は、同社からライセンスを取得して米Janssenが進める医薬品開発プロジェクト(前臨床試験段階)が所期の成果を上げなかったため、開発の進捗に応じたマイルストーン収入が減少するという痛手を被った。

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バイオ企業Wilex(ミュンヘン)は12年秋、腎臓がん治療薬「Rencarex」が臨床試験の最終段階であるフェーズ3で、偽薬(プラセボ)を上回る薬効が確認されなかったとして、開発中止を決定した。ただ、同社が臨床結果を精査したところ、同薬を投与された患者のうち、特定の遺伝形質を持つグループに対しては効く可能性があることが分かった。そうした患者を対象に改めて臨床試験を実施し薬効が認められれば販売認可を申請できる。ただ、臨床試験をやり直す資金的な余裕は同社になく、投資家探しに奔走している。今年半ばまでに資金が調達できなければ、開発を最終的に断念せざるを得ないという。

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