独バイオ業界団体のBio Deutschlandと業界専門誌『transkript』は14日、国内バイオ企業の事業見通しに関するアンケート調査結果を公表した。それによると、経営の現状や今後の見通しなど6つの指標のうち5つで前年よりも肯定的な見方をする企業が増加しており、業界を取り巻く環境は上向いているようだ。研究開発投資の見通しについては、資金の調達難などを背景に「減らす予定」の回答が増えた。
\事業の現状判断を示す指数(2006年=100)は99.13で、前年に比べ2.64ポイント上昇。金融・経済危機発生以前(07年:99.30)とほぼ同水準まで回復した。
\今後の事業見通しを示す期待指数は1.13上昇の92.12となり、3年ぶりに好転した。雇用見通しも前年を2.8ポイント上回る95.32に改善し、2007年に次ぐ高い数字となっている。
\今回のアンケート調査で目を引くのは、政治的な枠組み条件(経済・産業政策など)に対する評価が大きく改善したことだ。政治の現状に対する判断を示す指数は91.70から97.31に大きく上昇したほか、3年連続で低下が続いていた将来の政治情勢に対する判断も4.0ポイントの上昇に転じるなど、新政権に対し業界が大きな期待を寄せていることが読み取れる。
\6つの指標のうち唯一悪化した研究開発投資についてBio Deutschlandのブロンゼマ事務局長は、◇資金調達難から企業が一部の研究プロジェクトを先送りせざるを得なくなっている◇昨年の連邦議会選挙の結果を待ってプロジェクト実施・予算増減の是非を決めた企業がある◇新薬の販売認可取得に成功した企業が、研究開発よりもマーケティング・販売に予算を振り向けた――などの原因が考えられると指摘した。
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