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2014/1/22

ゲシェフトフューラーの豆知識

問題行為で解雇の被用者が採用募集に応募、拒否できるか

この記事の要約

問題行為を起こして解雇された被用者が元の雇用主の採用募集に応募することは普通ない。だが、そうしたことがあった場合、雇用主は問題行為を理由に採用を拒否できるのだろうか。この問題をめぐる係争でハム州労働裁判所が12月に判決( […]

問題行為を起こして解雇された被用者が元の雇用主の採用募集に応募することは普通ない。だが、そうしたことがあった場合、雇用主は問題行為を理由に採用を拒否できるのだろうか。この問題をめぐる係争でハム州労働裁判所が12月に判決(訴訟番号:17 Sa 1158/13)を下したので、ここで取り上げてみる。

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裁判は重度の障害を持つIT技術者がノルトライン・ヴェストファーレン州を相手取って起こしたもの。同技術者は15年以上に渡って同州の役所に勤務してきたが、2012年に業務用パソコンで違法なダウンロードを行ったため、即時解雇を通告された。

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原告は翌年、同州の別の役所が行ったIT技術者の募集に応募したところ、面接に招待されなかった。このため一般平等待遇法(AGG)で禁じられた障害者差別に当たるとして、慰謝料の支払いを求める裁判を起こした。

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原告は1審で敗訴。2審のハム労裁も1審判決を支持した。判決理由で裁判官は、被告が原告を面接に招待しなかったのは原告がかつて行った違法ダウンロードにより原告への信頼が失われたためだと指摘。被告の行為は障害者差別に当らないとの判断を示した。最高裁への上告は認めなかった。

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