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2014/2/5

ゲシェフトフューラーの豆知識

セクハラで即時解雇は妥当

この記事の要約

セクハラを行った被用者に対しては即時解雇処分を下すのが妥当なのか、それとも警告処分にとどめておくべきなのか――。この問題をめぐる係争で、ニーダーザクセン州労働裁判所は昨年12月に下した判決(訴訟番号:6 Sa 391/1 […]

セクハラを行った被用者に対しては即時解雇処分を下すのが妥当なのか、それとも警告処分にとどめておくべきなのか――。この問題をめぐる係争で、ニーダーザクセン州労働裁判所は昨年12月に下した判決(訴訟番号:6 Sa 391/13)で即時解雇は妥当であり、また必要な措置だとの判断を示した。

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裁判は53歳の男性介護職員が即時解雇を通告した雇用主を相手取って起こしたもの。同職員は2012年10月15日、女性の職業訓練生Dと2人で朝食をとっていた際、Dのバストのサイズを聞いたうえで「胸を触ってもいいか」と発言。翌16日には抱きついて胸を触ったほか、キスをしようとした。

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Dはこの事実を上司に連絡。雇用主は両者から事情聴取を行ったうえで、11月1日付の文書で原告職員に即時解雇を通告した。原告はこれを不当として提訴した。

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1審のブラウンシュヴァイク労働裁判所はセクハラの事実関係を認めたものの、原告のセクハラは今回が初めてであり、処分は警告が妥当だったと指摘。原告勝訴を言い渡した。

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これに対し2審のニーダーザクセン州労裁は、セクハラは一般平等待遇法(AGG)で禁じられた差別であり、AGG7条3項には差別行為の実行は契約義務違反に当ると記されていることを指摘。原告のセクハラ行為により、雇用関係の継続に必要な原告と雇用主の信頼関係は失われており、原告の年齢や勤続年数、扶養義務を考慮しても即時解雇は妥当だとの判断を示した。また、介護関係の職場では女性職員が多く、原告を即時解雇しないことは他の職員に対する配慮義務に抵触するとの見方も示した。

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最高裁への上告は認めなかった。

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