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2014/2/12

経済産業情報

ADACの人気投票で順位も入れ替え、自動車メーカー3社は受賞撤回

この記事の要約

自動車大手のダイムラー、BMW、フォルクスワーゲン(VW)の3社は10日、全ドイツ自動車クラブ(ADAC)が実施した2014年自動車人気投票(イエロー・エンジェル賞)での受賞を撤回すると発表した。監査法人デロイトが実施し […]

自動車大手のダイムラー、BMW、フォルクスワーゲン(VW)の3社は10日、全ドイツ自動車クラブ(ADAC)が実施した2014年自動車人気投票(イエロー・エンジェル賞)での受賞を撤回すると発表した。監査法人デロイトが実施した調査で、得票順位が操作されていたことが明らかになったため。デロイトは13年以前のイエロー・エンジェル賞についても操作が行われていた可能性が高いとしており、ADACの信用は完全に失われた。ADACのペーター・マイヤー会長は同日付で引責辞任した。

イエロー・エンジェルについては投票数が大幅に水増されていたことが1月に発覚。ADACはこれを受け、デロイトに調査を依頼。得票順位も操作されていたことが分かった。

『南ドイツ新聞(SZ)』の報道によると、投票の時点で7位だったBMWの「5シリーズ」は、結果公表の段階で5位に引き上げられ、本来5位だったVW「ティグアン」は選外となった。最初の投票結果ではVWとメルセデス・ベンツの2つの独メーカーがランクインしたものの、御三家ともいえるBMWが入っていなかったため、5位の「ティグアン」を7位の「5シリーズ」に入れ替えることで、独大手3社が含まれるよう操作したという。

ADACの信用を揺るがしている事件はこれだけにとどまらない。SZ紙がタイヤメーカー関係者の話として報じたところによると、ADACと商品テスト財団などが実施しているタイヤの性能テストで、ADACはテスト対象モデルやサイズなどの情報を事前にメーカーに知らせ、試験でよい成績が出るように改良が加えられた“スペシャルタイヤ”を小売店に卸せるよう便宜を図っていたという。

これに対しADACの広報担当者は、メーカーに試験実施に関する知らせを送っていることは認めたものの、◇試験結果に少しでも疑問点があれば追試を行う◇知らせから結果公表(出版)までには8~12週しかない――と指摘。「(メーカーへの事前通知は)試験の結果にいかなる影響も及ぼしていない」として、疑惑を否定した。