スイスの食品大手Nestle(ヴェヴェイ)は11日、仏美容用品大手L’Orealの株式8%をL’Orealに売却することで合意したと発表した。取引金額は65億ユーロで、そのうち34億ユーロを現金で取得。残り31億ユーロは両社の合弁会社である皮膚病治療薬メーカーGaldermaの資本50%で受け取り、同合弁を完全子会社化する。
L’OrealはNestleから取得する自社株を消去するため、既存株主の出資比率は上昇。筆頭株主である仏ベタンクール家は従来の30.6%から33.31%に上がる。Nestleは29.4%から23.29%に低下するものの、低下幅は6%強にとどまる。
NestleはGaldermaの完全子会社化を通して医薬品事業を強化する意向だ。これまでは美容事業を重視するL’Orealの意向でGaldermaを自由に運営できなかった。L’Orealは今後、美容分野に経営資源を絞り込む。
Nestleは1974年、L’Orealの国有化を恐れたベタンクール家の要請を受けてL’Orealに資本参加した。今後もL’Orealが戦略的な出資先であり続けるとしており、同株のさらなる売却は行わない意向だ。