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2014/2/19

ゲシェフトフューラーの豆知識

ナビの誤作動でトラック損傷、即時解雇は不当

この記事の要約

ナビゲーションシステムの誤った指示が原因の1つとなり交通事故を起こしトラックを損傷させた運転手を解雇するのは不当だ――。ハム州労働裁判所は解雇取り消しを求める訴訟でこのほど、こんな判断を示した(訴訟番号: 10 Sa 1 […]

ナビゲーションシステムの誤った指示が原因の1つとなり交通事故を起こしトラックを損傷させた運転手を解雇するのは不当だ――。ハム州労働裁判所は解雇取り消しを求める訴訟でこのほど、こんな判断を示した(訴訟番号: 10 Sa 1098/13)。

裁判はボーフムにある企業の運転手が同社を相手取って起こしたもの。同運転手は2013年3月4日、15トントラックを運転して荷物を運搬していた。その時、3.5トン超の車両の通行禁止を示す標識と「冬季は自己責任で走行を」と書かれた看板を見落として山道を走行した。路面は当初、問題がなかったものの、やがて凍結した地帯に入りスリップ。トラックは路肩に逸脱し、運転手が降りた後に斜面を滑り落ちた。

この結果、計2万5,000ユーロの損害が発生した。雇用主は運転手の重過失(標識と看板の見落とし)が原因だとして、即時解雇を通告。これに対し運転手は、ナビの指示に従って運転していたと主張。解雇取り消しを求めて提訴した。

原告の運転手は1審で勝訴。これを不服として被告の雇用主はハム州労裁に提訴した。同裁の裁判官は審理のなかで即時解雇は不当だとの判断を示したうえで、和解を提案し、原告と被告が受け入れた。和解の内容は◇労働契約を解除する◇被告は原告に一時金500ユーロを支払う――というもので、被告は原告に対する損害賠償請求も断念した。