イタリアの独禁当局は5日、スイスの製薬大手であるノバルティスとロシュの2社が違法なカルテルを結んでいたとして総額1億8,000万ユーロ強の制裁金支払いを命じた。メディア報道によると、これを受け現地の検察当局は市場操作などの容疑で両社を捜査する可能性があるという。2社はカルテル容疑を否認しており、裁判で争う意向だ。
独禁当局によると、ノバルティスとロシュは眼科疾患の一種である加齢黄斑変性(AMD)の治療薬として低価格製品の「Avastin」が処方されず、価格が大幅に高い「Lucentis」が処方されるよう、違法な取り決めを行っていた。これにより、イタリアの医療保険財政の負担が少なくとも4,500万ユーロ膨らんだと批判している。制裁金の額はノバルティスが約9,200万ユーロ。ロシュが9,050万ユーロ。
これに対し両社は、Avastinが本来はがん治療薬であり、AMDへの処方は認可されていない事実を指摘。AMDの治療薬としてAvastinが処方されていることに問題があるとしている。専門家によると、同薬はAMDに効果があるものの、副作用が大きいという。
Lucentisはロシュの米子会社ジェネンテックが開発したAMD治療薬で、ロシュとノバルティスが販売権を持つ。Avastinはロシュのがん治療薬。