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2014/4/2

ゲシェフトフューラーの豆知識

職場への飼い犬連れ込みで最終判決

この記事の要約

職場への飼い犬の連れ込みを認めている雇用主が、特定の犬について例外的に禁止することは差別に当たるのだろうか。この問題に関する係争でデュッセルドルフ労働裁判所が禁止できるとの判決を下したことは、昨年9月18日号ですでにお伝 […]

職場への飼い犬の連れ込みを認めている雇用主が、特定の犬について例外的に禁止することは差別に当たるのだろうか。この問題に関する係争でデュッセルドルフ労働裁判所が禁止できるとの判決を下したことは、昨年9月18日号ですでにお伝えした。今年3月24日に、上級審のデュッセルドルフ州労働裁判所が最終的な判決(訴訟番号:, 9 Sa 1207/13)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は広告代理店に勤務する女性社員が起こしたもの。同社では飼い犬の持ち込みが許されており、同社員も動物愛護協会から譲り受けたロシア産のハスキー犬を連れてきていた。この犬は3年間、全く問題を起こさなかったものの、ある日、極めて獰猛な行動を取ったため、それ以降、同僚も雇用主も恐怖心を抱くようになった。業務にも支障が出たことから、雇用主はこの犬を会社内に入れることを禁止。原告は平等原則に反するとして提訴した。

原告は1審で敗訴。2審のデュッセルドルフ州労裁も1審判決を支持した。判決理由で裁判官は、雇用主は指示権に基づいて、動物を社内に連れ込むことを認めるかどうか、また、認めるとすればどのような条件を付けるかなどを決定できるとの判断を示した。また、同僚が恐怖心を抱き、業務に支障が出ていることが明らかであれば、当初は認めていた犬の連れ込みを取り消すことは妥当な措置であり、平等原則に抵触しないとの見解も示した。最高裁への上告は認めなかった。