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2014/4/9

ゲシェフトフューラーの豆知識

改築に対し事業所委の共同決定権なし

この記事の要約

企業が行う改築に対し従業員の代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)は共同決定権を持っているのだろうか。この問題をめぐる係争でヘッセン州労働裁判所が3月に判断を示したので、ここで取り上げてみる(訴訟番号: A […]

企業が行う改築に対し従業員の代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)は共同決定権を持っているのだろうか。この問題をめぐる係争でヘッセン州労働裁判所が3月に判断を示したので、ここで取り上げてみる(訴訟番号: Az: 16 TABVGa 214/13)。

裁判はフランクフルト空港に入居する物流会社の事業所委員会が同社を相手取って起こしたもの。同社は改築に伴い事業所委のオフィスの入口を数メートル移動しようとした。これに対し同委は、計画通りに改築されると女性トイレまでの距離が200メートルと長くなる点を問題視。女性の事業所委員の負担が大きすぎるとして改築の差し止めを求める訴訟を起こした。

1審のフランクフルト労働裁判所はこの訴えを棄却。2審のヘッセン州労裁も1審の判断を支持した。決定理由で裁判官は、事業所委は改築に対し共同決定権を持たないとの判断を示した。また、女性トイレまでの距離が200メートルに延びても事業所委の業務に支障は生じないとの見解も付け加えた。抗告は認めなかった。