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2014/4/30

経済産業情報

独建設業界、アフリカ市場に食い込めず

この記事の要約

ドイツの建設会社が世界最後のフロンティアと目されるアフリカ市場の開拓で劣勢に立たされている。中国、韓国などのアジア勢が潤沢な資金と低価格を武器に急速に台頭しているためで、独建設業全国連盟(HDB)のトーマス・バウアー会長 […]

ドイツの建設会社が世界最後のフロンティアと目されるアフリカ市場の開拓で劣勢に立たされている。中国、韓国などのアジア勢が潤沢な資金と低価格を武器に急速に台頭しているためで、独建設業全国連盟(HDB)のトーマス・バウアー会長はロイター通信に「アフリカ市場で我々は中国にほぼ敗北した状態だ。受注を獲得できるドイツ企業は非常に少ない」と述べて危機感を表明。アフリカ開発支援など政府による後押しなどを求めた。

HDBのバウアー会長によると、中国政府は対アフリカ外交政策の要として経済支援を打ち出し、アフリカ諸国の資源獲得を目的に中国企業の対アフリカ投資や現地のインフラ整備に膨大な額の投融資を行っている(インフラ開発融資の返済を天然資源で行ういわゆる「アンゴラ方式」など)。韓国企業も労働コストの安さを武器に大型プロジェクトを獲得しており、ドイツ企業は全く太刀打ちできない状況という。独企業は1990年代初頭には国外受注高の5分の1をアフリカ・アジア地域で獲得していたが、現在では約5%まで縮小した。

バウアー会長は「中国企業の利点は工費の安さだけではない。輸出信用保険などで国から手厚い援助を受けており、独企業に比べてはるかに条件が恵まれている」と指摘したうえで、独政府はドイツあるいは欧州企業の建設請負とセットにした開発援助を行う必要があるとの考えを示した。また、多くの国では現地企業と組まないと公共入札で受注できるチャンスがないにもかかわらず、政府系の輸出信用保険であるヘルメス貿易保険は、独企業の国外子会社向け保険をほとんど引き受けないと批判し、姿勢の転換を求めた。