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2014/4/30

経済産業情報

ネスプレッソの技術情報を競合に開示へ、仏当局と合意

この記事の要約

食品大手のネスレがポーションコーヒーシステム「ネスプレッソ」事業で市場支配的な地位を乱用している疑いがあるとしてフランス競争委員会(Autorité de la Concurrence)が調査を進めてきた問題で、同委のブ […]

食品大手のネスレがポーションコーヒーシステム「ネスプレッソ」事業で市場支配的な地位を乱用している疑いがあるとしてフランス競争委員会(Autorité de la Concurrence)が調査を進めてきた問題で、同委のブルーノ・ラセール委員長は17日、ネスレが是正策に同意したことを明らかにした。1カ月の観察期間を通して市場に改善がみられれば、同社に対する調査を打ち切る。

仏競争委員会は、ネスレが仏カプセルコーヒー市場での独占的な地位を乱用して競合を市場から駆逐しようとしているとする競合2社(蘭DE Master Blendersとスイス・Ethical Coffee Company)の訴えを受けて2009年に調査を開始した。調査の結果、ネスレは09年からこれまでにカプセルやエスプレッソマシンの仕様を4回変更したが、変更は全て競合がネスプレッソ対応のカプセルを市場投入する直前ないし直後に行われていたことが判明。ラセール競争委員長は「技術革新があるのは普通だが、そのタイミングが競合製品の市場投入と常に一致しているというのは問題だ」と述べ、ネスレが競合製品を使わせないようにしている意図は明らかだとの見解を示した。また、ネスプレッソマシンの本体に純正カプセルだけを使うように表記し、他社製カプセルを使って故障した場合は製品保証の対象外としてきたことも問題だとした。

競争委はネスレとの協議の末、◇競合のコーヒーカプセルメーカーなどに対し、カプセル・本体の仕様変更を3カ月前に告知する◇競合他社製カプセル使用による不具合も保証の対象にする◇競合製のカプセルに対し品質・性能を疑問視するような公式コメントを一切控える――ことを取り決めた。また、フランスでは母の日と父の日がある5~6月にコーヒーメーカーの需要が最も高くなることから、この時期に突入する前に是正措置を導入することでも譲歩の取り付けに成功したという。

ネスプレッソは仏カプセル式コーヒーメーカー市場で73%、同カプセル市場で85%のシェアを持つ。独日刊紙『ヴェルト』によると、ネスプレッソ事業売上に占めるフランスの割合は4分の1に達しており、今回の措置はネスレにとって大きな痛手となりそうだ。