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2014/5/7

総合 - ドイツ経済ニュース

道路事情、州・郡・市町村レベルで特に深刻

この記事の要約

ドイツの道路インフラ事情が悪化している。財源不足で既存道の修復に十分に手が回らないためだ。日刊紙『ヴェルト』の独自調査にもとづく報道によると、特に州道、郡道、市町村道で状況が深刻化している。 ノルトライン・ヴェストファー […]

ドイツの道路インフラ事情が悪化している。財源不足で既存道の修復に十分に手が回らないためだ。日刊紙『ヴェルト』の独自調査にもとづく報道によると、特に州道、郡道、市町村道で状況が深刻化している。

ノルトライン・ヴェストファーレン州のジーガーラントにある機械メーカーSMSジーマクの鉄鋼プラント工場。同工場は近年、道路インフラの劣化に頭を痛めている。アウトバーン(連邦高速道路)A45号線など近くを走る多くの道路で橋が経年劣化し、同社製品を積んだ大型トラックが通行できなくなっているためだ。以前は一昼夜かければ最寄りの港湾まで運搬できたが、現在は3~4日かかり、手間とコストが膨らんでいる。

同州北部と隣接するニーダーザクセン州を結ぶ国道B241号線のヴェーザー川橋梁は老朽化のため3月から片側交互通行に切り替えられた。

北海・バルト海運河をまたぐアウトバーンA7号線の橋梁は素材疲労(アルカリ骨材反応)のため12年後に廃止となる。新しい橋梁を建設するには最低2億ユーロが必要という。

財界系シンクタンクIW経済研究所の企業アンケート調査では、道路事情の悪化で業務に大きな支障が出ているとの回答が全体の約4分の1を占めた。

連邦交通省のデータによると、道路の状況が「悪い」ないし「とても悪い」の合計はアウトバーンで16.5%、一般国道で34.7%に上る(グラフ参照)。

だが、州道に目を向けると、状況はより厳しい。ヴェルト紙が各州当局に問い合わせたところ、ザクセン・アンハルト州は「とても悪い」が44.4%、「悪い」が19.1%に達していると回答した。全体のおよそ3分の2に問題がある計算だ。州道の半分以上に問題がある州は少なくない。

州道は総延長距離が8万6,000キロメートルで、アウトバーン(1万3,000キロ)と一般国道(3万9,500キロ)の合計を大きく上回っており、老朽化した州道の割合が高いことはドイツ全体の道路事情の大きな悪化要因だ。

市町村レベルも状況は深刻で、市町村が管理する道路橋およそ6万7,000本のうち15%は素材疲労を起こしている。また35%は早急に修復する必要があり、全体の50%に問題がある。国道(アウトバーンと一般国道)ではそれぞれの割合が1.7%、11.8%にとどまる。

連邦と州が共同で立ち上げた「持続可能なインフラ財政委員会」が2012年12月に作製したレポートによると、既存の国道・州道、郡道(計23万キロ)を維持するため必要な年間投資額は合わせて73億ユーロに上る。だが、実際の投資額はこれを15億5,000万ユーロ下回っており、これが道路事情の悪化をもたらしている。

市町村道でも不足額が同10億ユーロに上っており、ドイツ全体の道路予算は約25億ユーロ足りない計算だ。