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2014/5/7

経済産業情報

臨床試験データ開示、ベーリンガーが先頭走る

この記事の要約

欧州連合(EU)の欧州議会で医薬品臨床試験の透明性向上に関する法案が可決されことを受け、製薬会社は結果の如何を問わず治験データを開示することが2016年から義務づけられる。『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』紙が […]

欧州連合(EU)の欧州議会で医薬品臨床試験の透明性向上に関する法案が可決されことを受け、製薬会社は結果の如何を問わず治験データを開示することが2016年から義務づけられる。『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』紙がこれを踏まえ、独製薬大手5社を対象に治験データ開示について質問したところ、最も取り組みが進んでいるのはベーリンガー・インゲルハイムであることが分かった。すでに過去15年のデータ全てを開示している。

欧州議会は4月2日、試験結果の要約および詳細データの提出を製薬会社や研究機関に義務づけるとともに、EUのデータベースで一元管理する法案を可決した。結果が公表される臨床試験が全体の半数にとどまるうえ、都合の悪い結果は企業が公表を控える傾向が強いことが背景にある。

FAZ紙は新薬の研究・開発を手がける大手5社(バイエル、ベーリンガー、メルク、グリューネンタール、メルツ)を対象に開示状況を調査した。それによると、ベーリンガーは1998年以降に開発がスタートしたすべての新薬の臨床データをオンラインプラットフォーム「clinicalstudydatarequest.com」で提供している。同プラットフォームは同社とグラクソスミスクライン、ノバルティス、ロシュ、サノフィ、ViiVの6社で共同運営しているが、ベーリンガーの情報開示はこの6社のなかでも最も進んでいるという。

一方、独最大手のバイエルは対応が遅れており、広報担当者は「年内に新規制に対応できるよう準備を進めている」と述べるにとどめた。