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2014/5/14

ゲシェフトフューラーの豆知識

特別休暇取得で年次有給休暇の権利は失われるか

この記事の要約

被用者には年次有給休暇の取得権がある。これは有給休暇法(BUrlG)1条に明記された権利である。この権利は◇法的に雇用関係にある◇試用期間が終了している――の2条件を満たす被用者 であれば一部の例外的なケースを除いて発生 […]

被用者には年次有給休暇の取得権がある。これは有給休暇法(BUrlG)1条に明記された権利である。この権利は◇法的に雇用関係にある◇試用期間が終了している――の2条件を満たす被用者

であれば一部の例外的なケースを除いて発生する。では、有給休暇とは別に特別休暇を取得した被用者にもこの権利はあるのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が6日に判決(訴訟番号:9 AZR 678/12)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判はベルリン大学病院シャリテ-に勤務していた看護婦が同病院を相手取って起こしたもの。同看護婦は2011年1月1日から退職する9月末までの9カ月間、雇用主との合意に従い無休の特別休暇を取得した。退職後に未消化となっていた11年の年次有給休暇15日分を金銭に換算して支払うことを同病院に請求したところ拒否されたため、提訴した。

原告は1審で敗訴したものの、2審で勝訴。最終審のBAGも2審判決を支持した。判決理由で裁判官は、有給休暇の請求権は勤務を行わなかった場合でも失わたり削減されることはないとの判断を示した。

また、有給休暇の取得権を雇用主が削減できるのは被用者が育児休暇を取得した場合など、法律に定められている場合に限られるとの判断を示した。