欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2014/5/14

ゲシェフトフューラーの豆知識

万引店員のロッカー検査は許されるか

この記事の要約

社員のロッカーを無断で検査することはプライバシーの侵害に当たり違法である。では社員が商品を万引きした疑いのある場合でもロッカー検査を行えないのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が判断を示した […]

社員のロッカーを無断で検査することはプライバシーの侵害に当たり違法である。では社員が商品を万引きした疑いのある場合でもロッカー検査を行えないのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が判断を示したので、ここで取り上げてみる(訴訟番号:2 AZR 546/12)。

裁判はキャッシュ・アンド・キャリー店に勤務する男性社員が雇用主を相手取って起こしたもの。同店員に対しては2011年3月4日の勤務時に商品を万引きしたとの疑いが持たれた。このため、同日の勤務時間中に店長が従業員代表の事業所委員(Betriebsrat)とともに同店員のロッカーを本人に無断で開けたところ、同店の商品である女性用下着が見つかった。

これを受けて雇用主は即時解雇を通告。原告はこれを不当として提訴した。

下級審は原告勝訴を言い渡し、最終審のBAGも下級審の判断を支持した。判決理由で裁判官は、万引きしたことが明らかな場合は本人に無断でロッカー検査を行えるが、原告のケースはこれに当たらないと指摘。原告が万引したことが事実であっても、違法なロッカー検査で得られた証拠を根拠に解雇することはできないとの判断を示した。

万引容疑を確かめる方法としては◇ロッカー検査に本人を立ち会わせる◇本人が会社を出る際に本人の同意を得てカバンの中を調べる――などの例を挙げた。