高級車大手の独BMW(ミュンヘン)が米ドル圏に完成車工場を建設することを検討しているもようだ。グループ全体の生産台数を2020年までに現在の200万台弱から250万台に引き上げる計画を踏まえた措置で、メキシコが有力候補に上がっている。経済紙『ハンデルスブラット』が社内情報として報じたもので、下半期にも監査役会で正式決定する見通しという。
ライトホーファー社長は3月末に開かれた米サウスカロライナ州スパータンバーグ工場の設立20周年式典で、同工場の生産能力を2016年までに現在の年30万台から45万台に引き上げる計画を明らかにした。同紙によると、メキシコに工場を設置すると、グループの北米生産能力は60万台に拡大する。
スパータンバーグ工場では米国で人気の高いSUVを生産している。一方、米ドル圏に新設する工場では「3シリーズ」「1シリーズ」「Mini」といった小型モデルを手がける。これらのモデルは現在、欧州から米国に輸出しているが、ユーロ相場が上昇すると利益を圧迫されるため、米ドル圏での生産に切り替え、収益力を高める意向だ。
メキシコは米国に近いうえ、約50カ国と自由貿易協定を結んでいることから、生産拠点として魅力が大きい。すでにGeneral Motors(GM)、トヨタ、Volkswagen(VW)などの競合が進出し、サプライヤーが充実していることもプラス材料となる。