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2014/5/21

ゲシェフトフューラーの豆知識

被用者がSNSに不適切な投稿、どんな処分が適切か

この記事の要約

フェイスブックなどのソーシャルメディア(SNS)に従業員が不適切な投稿を行うことが日本で問題になっているが、ドイツでも事情は変わらない。では、従業員がそうした行為を行った場合、雇用主はどのような処分を下すべきなのだろうか […]

フェイスブックなどのソーシャルメディア(SNS)に従業員が不適切な投稿を行うことが日本で問題になっているが、ドイツでも事情は変わらない。では、従業員がそうした行為を行った場合、雇用主はどのような処分を下すべきなのだろうか。この問題をめぐる係争でベルリン・ブランデンブルク州労働裁判所が4月に判決(訴訟番号:17 Sa 2200/13)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は病院で子供の介護業務に従事していた女性職員が同病院を相手取って起こしたもの。同職員は集中治療室に入っていた新生児(男子)の写真をSNSに無断で投稿した。この新生児は双子の1人で、もう1人(女子)は出生直後に死亡。母親は男児と絶縁していた。

投稿した写真にはコメントを添え、そのなかにはこの男児が死亡したことも書かれていた。この事実を知った雇用主は原告に即時解雇を通告。原告はこれを不当として提訴した。

1審は原告の訴えを認める判決を下し、2審のベルリン・ブランデンブルク州労裁も1審判決を支持した。判決理由で裁判官は、原告の行為は守秘義務違反で人格権も侵害しており、原則的に即時解雇に値するものの、雇用主が処分を下す際は総合的に判断しなければならないと指摘。原告のケースでは警告処分が妥当だと言い渡した。

解雇が不適切だとする根拠としては◇SNSに投降した男児に対しシンパシーを持っていた◇投稿を見た人が男児に親近感を覚える内容となっている◇男児と男児が入院していた病院を投稿内容から特定することができない◇この種の写真を公開する際は雇用主の同意を得なければならないと事前に伝えられていなかった◇雇用主から批判を受けた直後に投稿を削除した――を挙げた。

最高裁への上告は認めなかった。