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2014/5/28

企業情報

Daimler AG―リチウムイオン電池セルの生産中止か―

この記事の要約

自動車大手のDaimler(シュツットガルト)がリチウムイオン電池セルの生産を中止するとの観測が出ている。経済誌『マネージャー・マガチン』が社内情報をもとに21日付のオンライン版で報じたもので、自社モデルに搭載するセルの […]

自動車大手のDaimler(シュツットガルト)がリチウムイオン電池セルの生産を中止するとの観測が出ている。経済誌『マネージャー・マガチン』が社内情報をもとに21日付のオンライン版で報じたもので、自社モデルに搭載するセルの調達先を完全子会社Li-Tec Batteryから韓国のLGに切り替える見通しという。Daimlerは同誌の問い合わせに対し「Li-Tecではすべてが計画通りに進行している。将来の編成に向けて構想を練っている」と回答した。

Li-Tecは化学大手のEvonikが2006年にLi-Tec Vermögensverwaltungs-GmbHとして設立した開発・製造会社で、08年にDaimlerの出資を受け入れ、社名をLi-Tec Batterie GmbHに変更した。出資比率はEvonikが50.1%、Daimlerが49.9%で、独東部のカメンツの工場で2011年から生産を開始した。だが、同工場で生産するセルを搭載するのはDaimler子会社Smartの電気自動車(EV)に限られ販売先が拡大しないことから、Evonikは4月、保有するLi-Tec資本をすべてDaimlerに売却した。

同誌によると、16年に市場投入されるSmartEVの次世代モデルにはLG製のリチウムイオン電池セルが搭載される可能性が高い。

Li-Tec製のセルは現在、Daimlerの完全子会社であるDeutsche ACCUmotiveが電池パックへと組み立て、Smart向けに出荷している。Li-Tecがセル生産を中止した場合、Deutsche ACCUmotiveは調達先を他のセルメーカーに切り替えるため、電池パックの生産中止には追い込まれないという。