欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2014/5/28

経済産業情報

地域電力事業者が従来型発電から全面撤退へ

この記事の要約

独西部の地域エネルギー事業者である南ヴェストファーレン・エネルギー・水道会社(ENERVIE)は23日、従来型発電事業からの全面撤退計画を明らかにした。国の再生可能エネルギー強化政策のしわ寄せで、火力をはじめとする従来型 […]

独西部の地域エネルギー事業者である南ヴェストファーレン・エネルギー・水道会社(ENERVIE)は23日、従来型発電事業からの全面撤退計画を明らかにした。国の再生可能エネルギー強化政策のしわ寄せで、火力をはじめとする従来型発電の採算が取れなくなっているため。すでに昨年9月の時点で監督官庁の連邦ネットワーク庁(BNetzA)に許可申請を行った。ただ、ENERVIEが従来型発電を中止すると地域の電力供給に支障が出るため、許可は当面、下りない見通しだ。

ENERVIEはノルトライン・ヴェストファーレン州南部で発電・配電事業を行っている。同社の従来型発電(石炭・天然ガス・揚水発電)事業は発電能力が計1,500メガワット。昨年は同事業で約5,000万ユーロの赤字を計上しており、早急に停止したい考えだ。

だが、ENERVIE管区の配電網と外部の高圧送電網を接続する設備の能力が低く十分な量の代替電力を外部から調達できないことから、ENERVIEが従来型発電を中止すると管区内の電力供給が不安定になる。同設備の能力が十分な水準に高められるのは早くても2020~22年のため、同社はそれまで従来型発電を継続しなければならない状況だ。

これに伴う発電コストを誰が負担するかは定かでない。ENERVIEは独西部の高圧送電網を運営するアンプリオンに義務があると主張。これに対しアンプリオンはENERVIEに責任があるとしており、両社の主張は平行線をたどっている。