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2014/6/18

企業情報

Ford―次世代「Fiesta」もケルンで生産へ、ルーマニア移管は白紙に―

この記事の要約

自動車大手のFordは10日、2016年に市場投入する小型ハッチバック車「Fiesta」の次世代モデルをこれまでに引き続きドイツのケルン工場で生産することを明らかにした。人件費の低いルーマニアのクラヨバ工場に生産移管する […]

自動車大手のFordは10日、2016年に市場投入する小型ハッチバック車「Fiesta」の次世代モデルをこれまでに引き続きドイツのケルン工場で生産することを明らかにした。人件費の低いルーマニアのクラヨバ工場に生産移管することも検討したが、ドイツの従業員代表がコスト削減に同意したため、ケルンで生産を続けるメドが立った。コスト削減額は17~21年の5年間で計4億ユーロに達する見通しだ。

欧州市場向けのFiestaはケルンのニール地区にある工場で1979年から生産しており、累積の出荷台数は700万台を超えた。ただ、ハッチバック車の需要が低迷するなか、現在の労働条件では利幅の小さい小型車を生産しても利益を出すのが不可能といい、労使は昨年12月から労働条件などについて交渉してきた。

独デュースブルク・エッセン大学自動車リサーチセンター(CAR)のデータをもとに『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じたところによると、ルーマニアの賃金は1時間当たり5ユーロ弱でドイツの10分の1にとどまる。Fiestaの生産に30時間を要すると仮定すると、ドイツの人件費は1台当たりおよそ1,300ユーロ高い計算だ。

今回の労使合意ではドイツの全従業員2万4,000人(ケルン工場1万7,000人、ザールルイ工場7,000人)の雇用が2021年まで保障された。その代償としてFiestaの夜間生産シフトを廃止する。この措置の影響を受ける従業員は1,400人で、そのうち400人は小型省エネエンジン「Ecobooster」の生産に投入。残り1,000人については新たな技術の習得に向けた職業研修を施すか、高齢労働者パートタイム制度を適用する。

協定賃金は据え置く。ただ、一時金については一部を廃止する。