アラブ首長国連邦のドバイを本拠とするエミレーツ航空は12日、欧州航空大手エアバスの次世代中型旅客機「A350」をキャンセルすると発表した。キャンセル数は70機で、エアバス史上最大。エミレーツのティム・クラーク社長は最近、A350は重量が重すぎ、航続距離が短いとの批判を繰り返していた。
エミレーツは2007年、標準胴体長のA350-900を50機、胴体を延長したタイプのA350-1000を20機、それぞれ発注した。取引価格はカタログ価格ベースで約160億ユーロ。納期は2019~23年を予定していた。
エアバスは今回のキャンセルに遺憾の意を示しながらも、業績には影響がないとの見方を示した。納期までの期間が長く穴埋めの時間が十分にあるうえ、A350が高い人気を保っているためだ。旅客機販売の責任者であるジョン・リーヒー氏は、エミレーツのキャンセル分を自社で引き受けたいとの要望を複数の航空会社からすでに受けていることを明らかにした。
A350はエンジン性能が高く、軽量素材も多用しているため、省エネ性が高く、これまでに世界38の航空会社から計742機を受注した。米ボーイングの「ドリームライナー」と競合関係にある。