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2014/7/2

ゲシェフトフューラーの豆知識

事業所委員の有期雇用契約で最高裁判決

この記事の要約

雇用主は理由を提示せずに合計で最大2年間、被用者を有期雇用できる。これは「パートタイムと有期労働契約に関する法律(TzBfG)」14条2項に記されたルールであり、雇用主は理由を示さずに契約更新を拒否することもできる。雇用 […]

雇用主は理由を提示せずに合計で最大2年間、被用者を有期雇用できる。これは「パートタイムと有期労働契約に関する法律(TzBfG)」14条2項に記されたルールであり、雇用主は理由を示さずに契約更新を拒否することもできる。雇用問題の最高裁である連邦労働裁判所(BAG)は2012年12月5日の判決(訴訟番号: 7 AZR 698/11)でさらに、このルールが従業員の代表である事業所委員(Betribsrat)にも適用されるとの判断を示した。では、事業所委員であるがゆえに契約更新を拒否することも許されるのだろうか。この問題をめぐる係争で、BAGが6月25日に判決(訴訟番号:7 AZR 847/12)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は化学メーカーに勤務していた有期契約社員が同社を相手取って起こしたもの。同社員は2009年10月12日付で採用された。翌年春に事業所委員に選出され、同9月24日には勤務期間を11年10月11日まで延長する契約を雇用主と締結した。

雇用主は11年7月11日付の文書で、雇用関係を10月11日で打ち切り、更新しないことを通告した。同社員はこれについて、事業所委員であるがゆえに契約を更新されなかったと主張。これを不当として提訴した。

原告は1、2審で敗訴。最終審のBAGも下級審判決を支持した。判決理由で裁判官はまず、事業所委員をその活動を理由に差別することを禁じた事業所体制法(BetrVG)78条第2文の規定を指摘。原告が事業所委員であったことが契約不更新の理由である間接証拠があれば、雇用主はそれに反論するための証拠を提示しなければならないとの判断を示した(反論証拠を提示できなければ、不当な差別となり、雇用契約を更新しなければならない)。

そのうえで、原告のケースでは事業所委員であることが契約不更新の理由になった間接証拠はないと結論づけた。