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2014/7/2

ゲシェフトフューラーの豆知識

ネットの私的利用、度が過ぎれば解雇は妥当

この記事の要約

勤務先のパソコンで被用者がインターネットを著しい度合いで私的に利用している場合、雇用主は解雇できる――。シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労働裁判所が5月に下した判決(訴訟番号:1 Sa 421/13)でそんな判断を示した […]

勤務先のパソコンで被用者がインターネットを著しい度合いで私的に利用している場合、雇用主は解雇できる――。シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労働裁判所が5月に下した判決(訴訟番号:1 Sa 421/13)でそんな判断を示したので、ここで取り上げてみる。

裁判は制振塗料メーカーの社員が同社を相手取って起こしたもの。同社員は勤務時間中に職場のパソコン使い、SNSやチャットフォーラムでのやり取りを頻繁に行っていた。また、ファイル共有ソフトを使って映画や音楽など計1万7,429件のデータをダウンロードしていたほか、私的な写真を保存していた。

雇用主は社内コンピューターの情報処理のスピードが極めて遅いことからIT企業に調査を依頼。その結果、原告社員によるパソコンの私的利用が原因であることが分かった。これを受け2013年4月23日付の文書で同社員に解雇を通告した。同社員はこれを不当として提訴した。

1審のエルムスホルン労働裁判所は原告の訴えを棄却。2審のシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労裁も1審判決を支持した。判決理由で裁判官は、原告は給与を受け取る見返りとして業務を行わなければならないにもかかわらず、勤務時間中にネットを私的に利用することでその義務に違反したと指摘。業務用パソコンの私的利用の程度が著しく高いことを踏まえると、処分は警告でなく、解雇が妥当だとの判断を示した。また、ファイル共有ソフトを使って音楽などのダウンロードを行うことはウイルス感染のリスクがあり、会社のITセキュリティを危険にさらしたとも指摘。これも重大な義務違反だと言い渡した。

最高裁への上告は認めなかった。