ドイツ国内で昨年敷設された高圧送電線の距離は計97キロメートルにとどまったことが、野党・緑の党の議員質問に対する政府回答で分かった。同国が取り組む再生可能エネルギーの普及加速政策(エネルギー転換政策)を成功させるには高圧送電網の大幅拡充が不可欠とされており、政府は対応を求められそうだ。
2009年に成立した送電線拡充法(Enlag)には計24の高圧送電線敷設プロジェクトが盛り込まれており、総延長は1,877キロに上る。だが、これまでに敷設されたのは計画の2割に当たる約400キロに過ぎない。
エネルギー転換政策では、ドイツ北部の風力発電パークで生産された電力を消費量が多い南部に送ることが大きな柱となっている。だが、送電線敷設地域の住民が反対運動を展開するため、建設は遅々として進まないのが現状だ。最近は少数与党のキリスト教社会同盟(SCU)が送電網敷設に疑問を投げかけており、与党の足並みはそろっていない。