ドイツ政府は8月31日、中東の過激派武装勢力である「イスラム国(IS)」の攻撃を受けるイラク北部のクルド人への武器供与を決定した。ISは残虐な殺りく行為を繰り広げており、政府は人道およびドイツの安全保障上の見地から支援に踏み切る。同政策は法律上、議会の承認を必要としないながらも、政府は1日、連邦議会(下院)にかけて支持を取りつけた。
クルド人に武器を供与すると、将来的に他の目的に流用されたり闇市場に流れ込む懸念がある。政府はこの問題と人道・安全保障問題を天びんにかけて今回の決定を下しており、ガブリエル経済相(副首相)は「これまでの人生で最も難しい決断の1つだった」と述べた。
ドイツはナチスの時代に人道に対する犯罪を大規模に行ったことから第2次世界大戦後は軍事貢献に消極的だった。だが、大国にふさわしい貢献を求められるようになっていることから、昨年末に成立した現政権は外交戦略の一環として軍事行動も排除しない方向を打ち出している。