製薬・化学大手の独メルク(ダルムシュタット)は22日、試薬大手の米シグマ・アルドリッチを買収することで合意したと発表した。ライフサイエンス産業向け事業を強化する狙い。今後、シグマ・アルドリッチの臨時株主総会で株主の支持を取り付けるほか、独禁当局の承認を取得。買収手続きを来年半ばに終了する見通しだ。
シグマ・アルドリッチを1株当たり140ドルで買収する。これは前営業日である19日の終値を36%上回る水準。買収総額はメルク史上最大の170億ドル(131億ユーロ)で、同社は手元資金と銀行融資、社債で賄う。
シグマ・アルドリッチは従業員数が9,000人強で、昨年は27億ドル(約21億ユーロ)を売り上げた。同社の買収により、メルクのライフサイエンス事業売上高(2013年ベース)は79%増の61億ドル(47億ユーロ)に拡大する。
両社は製品の補完性が高く、メルクはシナジー効果が買収後3年以内に年およそ2億6,000万ユーロ(約3億4,000万ドル)に達すると予想している。
メルクは2010年、ライフサイエンス産業向け事業の強化に向けて米ミリポアを72億ドル(53億ユーロ)で買収した。今年5月にも集積回路(IC)用化学品や感光性材料を手がける英AZエレクトロニック・マテリアルズの株式公開買い付け(TOB)に成功(買収総額:約19億ユーロ)。リスクの高い製薬事業への依存度を引き下げている。