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2014/11/5

企業情報

バッテンフォール―独褐炭採掘・発電事業から撤退の方向―

この記事の要約

スウェーデン国営エネルギー大手のバッテンフォール(ストックホルム)は10月30日、ドイツの褐炭採掘・発電事業からの撤退を検討することを明らかにした。同社はスウェーデンの政権交代を受けて二酸化炭素(CO2)の排出削減と再生 […]

スウェーデン国営エネルギー大手のバッテンフォール(ストックホルム)は10月30日、ドイツの褐炭採掘・発電事業からの撤退を検討することを明らかにした。同社はスウェーデンの政権交代を受けて二酸化炭素(CO2)の排出削減と再生可能エネルギー事業の強化方針を打ち出しており、CO2排出量が多い褐炭発電は事業戦略に合致しなくなっている。今後、ドイツ政府などと協議し、「適切な解決策」(ホール社長)を模索していく。

バッテンフォールは独東部で褐炭の露天掘りと褐炭発電を行っている。同地の重要な電力事業者であり、仮に褐炭発電が中止されると、電力供給に支障が出る懸念がある。独褐炭採掘・発電事業の雇用規模が8,000人超と大きいこともあり、同事業が集中する地元ブランデンブルク、ザクセン両州政府は早急に協議を開始するよう要求している。

当該事業を独競合のエーオンやRWEが買収することは考えにくい。ドイツでは褐炭発電所の将来性が極めて低いためだ。

ロイター通信が消息筋の情報として報じたところによると、売却先候補としてはKKRやブラックストーンといった国際的な投資会社や、チェコの電力事業者EPH、CEZが考えられるという。バッテンフォールの同事業の時価については20億~30億ユーロと推定している。

スウェーデンでは9月の総選挙で中道右派の与党が敗北。社会民主労働党と緑の党が今月初旬に樹立した新政権は、原発全廃などの環境重視路線を打ち出している。