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2014/11/12

企業情報

ドイチェ・ポスト・モビリティ―ADACが資本撤退―

この記事の要約

自動車ドライバーのサポート組織である全ドイツ自動車クラブ(ADAC)は10日、長距離バス事業から撤退すると発表した。業務内容の絞り込み方針を受けた措置で、物流大手ドイツポストとの合弁会社ドイチェ・ポスト・モビリティ(ボン […]

自動車ドライバーのサポート組織である全ドイツ自動車クラブ(ADAC)は10日、長距離バス事業から撤退すると発表した。業務内容の絞り込み方針を受けた措置で、物流大手ドイツポストとの合弁会社ドイチェ・ポスト・モビリティ(ボン)から今月中に資本を引き揚げる。

ADACとドイツポストは2013年の独長距離バス市場自由化を受け、折半出資でドイチェ・ポスト・モビリティを設立。同年11月に事業を開始した。運行するバスは約60台に上る。

同市場では激しい価格競争が繰り広げられており、各社は赤字を計上している。このため、英国系のシティ2シティは10月中旬に事業を停止。業界のパイオニア企業であるダインブス・デーエーは経営破たんしており、市場は再編過程に突入している。

ドイツポストは今後、ドイチェ・ポスト・モビリティを単独で運営していく。独乗り合いバス事業者全国連盟(BDO)の予測によると、国内の長距離バス利用者数は今年の900万人から来年は1,800万人に倍増する見通しで、ドイチェ・ポスト・モビリティはこれまでに引き続き来年も路線数を拡大する意向だ。ドイツポストは資金力が高いため、赤字が続いても事業を継続させることができる。

ADACでは1月、会員を対象に毎年実施している人気投票「イエローエンジェル」の自動車部門賞で、投票者数を大幅に水増ししていたことが発覚した。これを受けて業務をドライバー向けの支援やアドバイスなど中核分野に絞り込む方針を打ち出しており、その一環で長距離バス事業から撤退する。