ドイツ鉄道(DB)は1日、航空会社10社をケルン地方裁判所に提訴したと発表した。航空貨物のカルテルで被害を受けたとして損害賠償の支払いを請求している。DBは同カルテルに絡んで米国でも7社を相手取って損賠訴訟を起こしており、請求額は合わせて21億ユーロに上る。
ケルン地裁の訴訟ではルフトハンザドイツ航空、日本航空、ブリティッシュ・エアウェイズ、カンタス、シンガポール航空など10社を提訴した。損賠請求額は約12億ユーロ。これに約5億6,000万ユーロの利払いを加えた額の支払いを要求している。
世界の航空物流業界では1999年から2006年にかけて、燃油サーチャージなどの分野で違法なカルテルが締結されていた。カルテルの事実はルフトハンザの通報で発覚。欧州連合(EU)の欧州委員会は10年、関与した航空会社のうちルフトハンザを除く企業に総額7億9,940万ユーロの制裁金支払いを命じた。このほか、米国、オーストラリア、ブラジル、カナダ、ニュージーランド、南アフリカ、韓国で合わせて約15億ユーロの制裁金支払命令が出ている。
ルフトハンザはカルテル制裁金の支払いを免除されたものの、カルテルで被害を受けた企業は同社に損賠支払いを請求できる。13年決算報告書には航空貨物カルテルに絡んで損賠訴訟を起こされるリスクがあることが明記されている。