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2014/12/3

経済産業情報

移民の大幅制限求める住民投票などが否決に=スイス

この記事の要約

移民流入の規制強化と外国人富裕層への課税強化、およびスイス国立銀行(中銀)に金準備の拡大を義務づけることを求める計3つの住民投票が11月30日、スイスで行われ、すべて否決された。仮に可決されればスイス経済に悪影響をもたら […]

移民流入の規制強化と外国人富裕層への課税強化、およびスイス国立銀行(中銀)に金準備の拡大を義務づけることを求める計3つの住民投票が11月30日、スイスで行われ、すべて否決された。仮に可決されればスイス経済に悪影響をもたらす懸念があったため、経済界には安堵感が広がっている。

同国では外国人の移住制限を求める住民投票が2月に実施され、賛成50.3%、反対49.7%で可決された。政府はこれにより、住民投票に沿った政策を3年以内に実現することを義務づけられたため、欧州連合(EU)との間で結ぶ「国境を越えた人の自由な移動に関する合意」も変更しなければならなくなっている。

今回の移民流入規制強化を求める住民投票では移民制限の具体策が焦点となった。移民の純増数を年当たり国民数の0.2%(約17万人)に制限するというもので、過去5年間の純増数(年8万人、国民数の1%)に比べて5分の1に引き下げる内容だ。

だが、スイスは観光地などで外国人労働者への依存度が高く、移民流入規制が強化されると企業は経営が成り立たなくなったり、縮小を余儀なくされる恐れが高い。こうした現実があることから同住民投票では74%が反対票を投じた。

スイスに住む外国人富裕層への課税強化を求める住民投票は節税目的で同国に住居を持つ人を標的としたもの。同措置も経済への悪影響が予想されることから、投票では反対が59%と賛成を上回った。

中銀に金準備の拡大を義務づけることを求める住民投票は反対が77%に達した。賛成多数で可決されると、中銀の政策の余地が制限され、機動的な金融政策が行えなくなる恐れがあった。