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2014/12/17

企業情報

フォイト―コスト削減強化へ―

この記事の要約

機械大手の独フォイト(ハイデンハイム・アン・デア・ブレンツ)は10日の決算発表で、昨年打ち出したコスト削減プログラム「フォイト150+」の強化方針を明らかにした。管理分野と業績不振の製紙機械部門で人員削減を実施。2017 […]

機械大手の独フォイト(ハイデンハイム・アン・デア・ブレンツ)は10日の決算発表で、昨年打ち出したコスト削減プログラム「フォイト150+」の強化方針を明らかにした。管理分野と業績不振の製紙機械部門で人員削減を実施。2017年9月期までにコストを1億5,000万ユーロ圧縮するとした当初目標を同2億5,000万ユーロに引き上げた。

同社は製紙機械、水力・揚水発電用タービン部門の業績悪化を受けて昨年12月にフォイト150+を発表した。このうち水力・揚水発電用タービンについては受注が拡大に転じるなど業績改善の兆しが出ているものの、製紙機械では厳しい市場環境が続いている。デジタルメディアの大幅な拡大を受けてプリントメディアの需要が減少し、製紙機械の需要も落ち込んでいるためで、フォイトでは印刷用紙製造用大型機械の受注がここ2年間、途絶えている。

9月末時点の従業員数は3万9,300人(フルタイム勤務換算)で、1年前から4,000人減少した。産業サービス子会社DIW(従業員数3,400人)を建設会社シュトラバグに売却したことが大きい。経営陣は現在、人員整理に向けて従業員代表と協議している。

同社は今後、工場のスマート化(インダストリー4.0)が進展し、製造業のあり方が大きく変化することを見越し、工業用ロボット大手クーカの議決権付き株式25.1%をこのほど取得した。今後も同分野で新たな出資・買収を行う考えだ。

新規受注は3期ぶり増加

2014年9月通期決算の営業利益は前期比27%減の2億7,000万ユーロとなり、前期に引き続き縮小した。製紙機械部門の同利益が8,600万ユーロから900万ユーロに激減したことが最大のマイナス要因。中国の高速鉄道向けに供給した駆動装置で問題があったことも1,000万ユーロのケタ台の減益要因となった。最終利益は36.9%減の4,100万ユーロ、売上高は6.6%減の53億ユーロだった。

新規受注高は約7%増の55億8,100万ユーロとなり、3期ぶりに拡大した。すべての部門で受注が増加。9月末時点の受注残高も約5%増の53億7,900万ユーロへと伸びた。

同社は大型機械・設備を手がける関係で新規受注が売上に反映されるには最大2年のタイムラグがある。このため15年9月期は売上高が横ばいにとどまると予想している。営業利益はコスト削減の効果で微増を見込む。フォイト150+の効果は16年9月期から本格的に表れてくると経営陣は予想している。

水力・揚水発電事業分野で同社のロシア事業は好調を保っているという。