化学大手の独BASFは12月29日、ロシア産天然ガスの輸送プロジェクト「サウス・ストリーム」から子会社ヴィンタースハルが撤退すると発表した。同プロジェクトをめぐってはロシアのプーチン大統領が同月上旬に凍結を表明するなど、実現のメドが立たなくなっており、伊ENI、仏EDFも同日、撤退を明らかにした。
サウス・ストリームはロシア産天然ガスを黒海海底、バルカン半島経由で欧州にパイプラインで輸送するプロジェクトで、露天然ガス大手のガスプロムと伊エネルギー大手のENIが2007年に立ちあげた。その後ヴィンタースハルとEDFも参加しており、各社の出資比率はガスプロムが50%、ENIが20%、ヴィンタースハルとEDFが各15%となっていた。
着工は2013年で、15年から年630億立方メートルを供給する予定だった。
だが、欧州連合(EU)では天然ガスの生産事業事業者が輸送事業を手がけることが禁止されているため、EUはガスプロムがサウス・ストリームの主導権を握ることに難色。プロジェクトはEU加盟国から敷設工事の許可を得られず、先行き不透明感が強まっていた。
ロシア政府がサウス・ストリームの代わりに、トルコ政府と共同でオフショア・パイプラインを建設する方針を打ち出していることもあり、西欧3社はサウス・ストリームの持ち分をガスプロムに売却することをそれぞれ取り決めた。