肥満は解雇訴訟で「障害」と見なされるとの判断を、欧州連合(EU)の欧州司法裁判所(ECJ)が12月18日の判決(訴訟番号:C-354/13)で下し波紋を広げている。これまでは肥満が原因で例えば糖尿病になった場合は障害と認定されたが、肥満自体は障害とみなされていなかったためだ。
裁判はデンマークの自治体(ビルン)から解雇通告を受けた保育士が同自治体を相手取って起こしたもの。同保育士は身長が172センチで、体重は160キロを下回ったことがなく、肥満(ボディマス指数30以上)に該当する。
ビルン当局は子供の数が減少したことを受けて保育士の削減を決定。原告を解雇した。他の保育士は解雇されておらず、原告は肥満を理由とする不当解雇だとして損害賠償訴訟を起こした(被告ビルン市は肥満が理由ではないとしている)。
ECJは今回の判決で、職業生活において他の同僚と同等の業務行ううえで恒常的に妨げとなる肉体的・精神的な要因はすべて障害に当たると指摘。肥満が原因で職業上の活動に支障が生じる場合、解雇訴訟では障害者とみなされるとの判断を示した。
障害者は法律で保護されるため、健常者と同じ基準で解雇することはできない。