ドイツ北部の都市州ハンブルクで15日行われた州議会選挙で、単独与党の社会民主党(SPD)が過半数議席を喪失した。オーラフ・ショルツ州首相(SPD)は政策方針が比較的近い中道左派の緑の党と連立する意向を表明しており、次期政権は両党が樹立する見通しだ。
SPDは得票率を前回の48.4%から45.7%(暫定値)に落としたものの、2位以下に大差をつけて勝利した。ショルツ首相の人気の高さがものを言った格好。同首相はすべての政党の支持者から高い支持を受けている。
中道右派の大政党・キリスト教民主同盟(CDU)は2位を保ったものの、得票率は前回の21.9%から15.9%へと大きく下落し、同州で過去最低となった。CDUは都市州で伝統的に人気が低いうえ、今回はトップ候補のインパクト不足も響いた。
2大政党の得票率が縮小するなかで、主要な小政党はすべて拡大。同州議選に初参加したリベラル右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は6.1%を獲得し、議席獲得に必要な5%ラインを突破した。西部の州でAfDが議会進出するのは今回が初めて。東部州では外国人排斥色を強く押し出して人気を獲得したが、今回の選挙ではそうした主張を抑え、環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)やユーロなど経済的なテーマを前面に押し出しており、これが有権者の支持につながったもようだ。西部州では排外主義が選挙でマイナスに働くという事情が背景にある。
全国的に凋落傾向にある中道右派の自由民主党(FDP)は得票率を前回の6.7%から7.4%に拡大した。12月時点の有権者アンケートでは支持率が2%にとどまっていたが、トップ候補にモデルのような女性(カティヤ・ズーディング氏)を担ぎ出し、映像を駆使したイメージキャンペーンを展開したことが奏功した。出口調査ではFDP投票者の大半がズーディング氏のイメージに惹かれて投票したと回答しており、同党の公約を投票理由に挙げる人は少なかった。
各党の獲得議席数(暫定)はSPDが58、CDUが20、緑の党が15、左翼党が11、FDPが9、AfDが8で、議席総数は121。SPDと緑の党の合計は73に達し、過半数ラインの61を大きく上回る。