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2015/4/1

経済産業情報

「操縦室常時2人体制」、独航空業界が導入へ

この記事の要約

ドイツ航空産業全国連盟(BDL)は3月27日、旅客機の操縦室に乗員2人が常駐する体制を導入することで、BDL加盟の航空各社と連邦交通省、連邦航空庁が合意したと発表した。ルフトハンザの格安航空(LCC)子会社ジャーマンウイ […]

ドイツ航空産業全国連盟(BDL)は3月27日、旅客機の操縦室に乗員2人が常駐する体制を導入することで、BDL加盟の航空各社と連邦交通省、連邦航空庁が合意したと発表した。ルフトハンザの格安航空(LCC)子会社ジャーマンウイングスで起きた墜落事故を受けた措置。操縦室に2人を常駐させるルールは米国ですでに導入されているが、欧州にはこれまでそうした決まりがなかった。

ジャーマンウイングスの旅客機は24日、フランス南部の山岳地帯に墜落した。当初は原因が分からなかったものの、ボイスレコーダーを分析した結果、操縦室で一人となった副操縦士が意図的に墜落させた可能性が濃厚となっている。

航空機にはパイロットが2人乗り込んでいるものの、ドイツの航空会社ではトイレの利用などで一時的に操縦室が1人となることを禁止していない。今回の事件では正操縦士が一時退出した後に副操縦士がドアをロック。正操縦士が室内に入れないようにしたうえで、下降飛行を行い墜落させたとみられる。

副操縦士は精神疾患を患っていたもようだが、会社や同僚にはその事実を伏せていた。また事故当日は本来、勤務できる状態でなかったことが家宅捜査で押収した医師の証明書(労働不能証明書)で分かっている。何の病気で勤務できない状態だったのかは明らかにされていないものの、副操縦士が他者を巻き込む形で自殺した可能性が高いほか、訓練生だった2009年に重度のうつ病と診断されていたことや自殺の恐れがあるとして過去に治療を受けていたことも分かっているため、精神疾患とみられる。担当医師は守秘義務を理由に病名などの詳細を公表していない。

一方、欧州航空安全局(EASA)は同日、旅客機の操縦室に常に2人以上の乗務員がいる規定を設けるよう欧州の航空各社に勧告した。EASA は声明で、「航空会社は飛行機の運航中に1人の操縦士が操縦室を離れるリスクを再評価する必要がある」と述べ、飛行中は操縦士1人を含む2人以上を操縦室に常駐させるよう求めた。

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