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2015/4/15

経済産業情報

独スーパー最大手の競合買収がとん挫、独禁当局の不承認で

この記事の要約

連邦カルテル庁は1日、独小売大手のエデカが同業テンゲルマンの食品スーパー子会社カイザース・テンゲルマンを買収する計画を承認しないと発表した。同庁は2月の時点で同計画に疑義を表明。その後、エデカ側と協議してきたが、折り合い […]

連邦カルテル庁は1日、独小売大手のエデカが同業テンゲルマンの食品スーパー子会社カイザース・テンゲルマンを買収する計画を承認しないと発表した。同庁は2月の時点で同計画に疑義を表明。その後、エデカ側と協議してきたが、折り合いがつかなかったため、今回の決定に踏み切った。アンドレアス・ムント長官によると、カイザース店舗の買収に関心を示す競合は多いという。

テンゲルマンは昨年10月、カイザースを独食品スーパー最大手のエデカに売却する計画を明らかにした。カイザースは事業規模が小さく赤字が続いており、単独で生き残るのは不可能と判断したためだ。

ドイツの食品スーパー市場では寡占が進んでおり、エデカ、レーベ、アルディ、シュバルツ・グループ(リドル)、カウフランドの5大勢力が合わせて85%のシェアを持つ。このため、エデカの買収計画がカルテル庁に承認されない懸念は当初からあった。

カルテル庁は同計画について2月、一部の地域で市場の寡占が強まるほか、商品調達面でも中堅スーパーとメーカーに不当なしわ寄せが出るとの見解を示し、変更を求めた。エデカはこれを受けて、カイザースの店舗451カ所のうち100カ所強について買収を断念する考えを提示したものの、カルテル庁は約170店舗の買収しか認めないと回答。エデカがこれを受け入れなかったため、買収計画を禁止した。特にベルリン、ミュンヘン、オーバーバイエルン、ノルトライン・ヴェストファーレンで寡占が現在以上に強まることを問題視した。

カイザースは全国レベルでみるとシェアが小さく、エデカのシェアが大幅に増える懸念はなかったものの、同庁のムント長官は、消費者の買物圏は極めて狭く、全国各地あるいは大都市全域のスーパーをエリアとする人はいないと指摘。個々の地域(消費者の買物圏)で寡占が進むことは認められないとの立場を明らかにした。

エデカの計画がとん挫したことで、競合企業がカイザースの店舗を買収するチャンスは高まった。ただ同長官は、レーベなどエデカに匹敵する競合がカイザースの店舗を大量に買収することは認めない考えを明確に示している。

エデカとテンゲルマンはカルテル庁の決定を吟味したうえで、今後の対応を決定する。裁判で争うほか、経済相の特別許可を申請することも可能だ。

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