ドイツでキッチンの購入価格が上昇している。低金利のほか、居間・台所・食堂の機能を1室に併存させたリビング・ダイニング・キッチン(LDK)の流行や、キッチンがステイタスシンボルとなっていることが背景にあり、昨年の平均購入価格は前年を約300ユーロ上回る6,200ユーロ弱に達した。5年前に比べるとおよそ700ユーロの上昇だ。市場調査大手GfKのデータなどをもとに『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。
特に1万ユーロ以上の高価格帯で需要が増加。5,000ユーロ以下の価格帯は減少している。最近は取っ手の付いていないすっきりしたデザインのプッシュオープン扉や、省エネ型冷蔵庫の人気が高い。また、オーブンの半数は自動洗浄機能を搭載している。
独キッチン製造業界の売上高は昨年103億ユーロで、前年を2.7%上回った。国内売り上げは1.9%増加。全体の40%強を占める輸出は3.8%伸びた。ベネルクス諸国、英国、米国向けが好調で全体が押し上げられた格好。最大の輸出先であるフランスは横ばいにとどまった。
中国向けは大きく落ち込んだ。ドイツ製品の人気は依然として高いものの、現地企業の競争力が高まったことなどが影響。業界団体AMKのオリバー・シュトライト会長は、独メーカーは直営店の開設や現地企業との提携を通して消費者に直接働きかける販売ルートを構築する必要があると指摘した。独高級キッチンメーカーのポッゲンポールとブルートハウプはすでに現地にフラッグシップ店を開設したという。