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2015/4/22

ゲシェフトフューラーの豆知識

職業教育訓練生の解雇で最高裁判決

この記事の要約

新卒者などが特定の職種で職業人としてのキャリアを開始する場合、まずは職業教育訓練生(Auszubildender)として働き、仕事上の専門知識・技能を習得しなければならない。職業教育訓練に関しては法律(職業教育法=BBi […]

新卒者などが特定の職種で職業人としてのキャリアを開始する場合、まずは職業教育訓練生(Auszubildender)として働き、仕事上の専門知識・技能を習得しなければならない。職業教育訓練に関しては法律(職業教育法=BBiG=)があり、同法22条には解雇規定が定められている。同条2項1には、試用期間が終了した職業訓練性は重大な理由がない限り即時解雇されないと明記されている。この規定に関する係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が2月に判決(訴訟番号:6 AZR 845/13)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は2010年8月1日から銀行の支店で働いていた職業教育訓練生が同行を相手取って起こしたもの。同訓練生は11年6月20日、夜間金庫の収納箱に収められている現金の検算を行った。その後、収納箱の現金が500ユーロ不足していることが判明したため、同支店は本人から事情を聴取。その際、不足している額を本人に伝えていなかったにもかかわらず、同訓練生は500ユーロが足りないことを自ら発言した。同行はこれを受けて、同訓練生が500ユーロを盗み取ったと判断。即時解雇を通告した。

これに対し同訓練性は、事情聴取の際に自分に容疑がかかっていることを事前に伝えなかったことは不当だなどと主張し、解雇無効の確認を求める訴訟を起こした。

1、2審は原告の主張を退け、最終審のBAGも下級審判決を支持した。判決理由で裁判官は、重大な義務違反の疑いが濃厚な場合はBBiG22条1項1の「重大な理由」を根拠に職業教育訓練生を即時解雇できると言い渡した。事情聴取の前に原告に疑いがかかっていることを伝えなかったことなどは問題でないとしている。

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