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2015/5/13

総合 - ドイツ経済ニュース

所得減税へ、手取り収入の実質減を解消

この記事の要約

ドイツのショイブレ連邦財務相は7日、所得税負担の軽減方針を明らかにした。内需拡大を通して巨額の経常黒字を解消するよう求める国外からの圧力が強くなっているうえ、好景気を背景に税収が従来の予測を上回るスピードで拡大する見通し […]

ドイツのショイブレ連邦財務相は7日、所得税負担の軽減方針を明らかにした。内需拡大を通して巨額の経常黒字を解消するよう求める国外からの圧力が強くなっているうえ、好景気を背景に税収が従来の予測を上回るスピードで拡大する見通しも高まっているためで、政府は税率の累進性を緩和。給与支給額が増えても手取り収入が実質的に減少する「冷たい累進性(kalte Progression)」と呼ばれる現象を解消する考えだ。

ショイブレ財務相は同日、地方自治体と欧州連合(EU)予算拠出金を含むドイツ全体の最新の税収予測を発表した。それによると、税収は今年6,665億ユーロとなり、昨年11月に作成した旧予測(6,602億ユーロ)を63億ユーロ上回る見通し(下のグラフ参照)。堅調な経済と就労者の増加、一般世帯の所得拡大、安定した企業の利益が押し上げ要因となる。

税収は来年以降も従来予測を上回るペースで増えていく見通しで、新予測の2015~19年の税収総額は旧予測を合わせて383億ユーロ上回る。

ドイツの税収はリーマンショックに伴う金融・経済危機で09年に大きく減少したものの、その後は急速な拡大基調が継続。14年実績は09年を23%上回った。19年には09年の約1.5倍に達する見通しだ。

単年度財政収支は12年から3年連続で黒字が続いており、14年には対国内総生産(GDP)比率が0.6%に達した。累積財政債務の対GDP比率も12年の79.3%から14年には74.7%に低下。国際通貨基金(IMF)の予測では、20年には60%未満となり、ユーロ加盟国に義務づけられている水準を順守できる見通しだ。

「冷たい累進性」は、名目所得が増えても所得の増加に伴う税率上昇とインフレの作用で実質所得が減少する現象で、ドイツの所得税制の大きな問題として以前から指摘されている。政府は税率の累進性を緩和することで対処する方針で、まずは来年、総額15億ユーロ規模の減税を実施する。14年と15年の物価上昇率を計1.5%と予想して、同額を算出した。将来的にも2年おきに税率を見直す考えだ。

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