米国家安全保障局(NSA)がドイツの情報機関、連邦情報局(BND)を通して独電機大手シーメンスの情報を極秘に入手しようとしていた、との観測が浮上している。BNDはNSAの依頼で欧州航空宇宙大手エアバス(旧EADS)の情報を収集していたとの疑惑もあり、経済界にはBNDや独政府に対する不信感が広がっている。日曜版『ビルト』紙が報じた。
同紙によると、NSAはシーメンスがロシアの情報機関SSSN(旧FAPSI)に通信技術を提供した取引についてBNDに情報収集を依頼した。BNDがこの依頼を実際に請け負ったかどうかは不明という。
シーメンスの広報担当者は問い合わせに対し、情報機関の関心を引くような事実をわが社はつかんでいないと回答するにとどめ、明言を避けた。同社は2007年、通信設備事業をノキアとの合弁会社ノキア・シーメンス・ネットワークス(NSN)に移管。13年には同合弁から資本を引き揚げ、通信関係の事業から完全撤退している。
エアバスは先ごろ、NSAとBNDのスパイ疑惑を受けて、容疑者不明のまま刑事告発を行った。事態の解明が狙いだとしている。