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2015/5/20

総合 - ドイツ経済ニュース

1-3月期独成長率0.3%に減速、新興国の景気低迷響く

この記事の要約

欧州経済のけん引車であるはずのドイツの景気が減速している。ユーロと石油のダブル安という追い風にもかかわらず、1-3月期(第1四半期)の国内総生産(GDP)成長率は外需が足かせとなり大幅に鈍化。欧州連合(EU)とユーロ圏の […]

欧州経済のけん引車であるはずのドイツの景気が減速している。ユーロと石油のダブル安という追い風にもかかわらず、1-3月期(第1四半期)の国内総生産(GDP)成長率は外需が足かせとなり大幅に鈍化。欧州連合(EU)とユーロ圏の実績を下回った。エコノミストの間には2015年の独成長率予測を引き下げる動きが出ている。

ドイツ連邦統計局が13日発表した1-3月期のGDP(速報値)は物価・季節要因・営業日数調整後の実質で前期比0.3%増となり、伸び率は前期(14年10-12月期)の同0.7%から大きく縮小した(下のグラフ参照)。内需は堅調だったものの、外需(輸出-輸入)が押し下げ要因となった。

統計局によると、個人消費と政府最終消費支出のほか、建設投資、設備投資も内需を押し上げた。

輸出は増加したものの輸入よりも伸びが小さかったため、外需が落ち込んだ。ロシア、ブラジル、中国などの主要な新興国と米国経済の低迷が響いた格好。米国の第1四半期の実質GDP成長率は0.1%で、前期(同0.5%)の5分の1に低下。昨年第3四半期(1.2%)から2四半期連続で大幅に縮小した。

第1四半期の成長率はエコノミストの予想を下回った。このため、15年通期成長率を見直す動きが出ており、バークレイズ銀行は従来の1.8%から1.5%に下方修正。MMヴァールブルク銀行も2%から1.7%へと引き下げた。

一方、欧州連合(EU)統計局ユーロスタットが同日発表したユーロ圏19カ国の第1四半期GDP成長率(速報値)は物価・季節要因調整後の実質(アイルランドとスロバキア以外は営業日数も調整済み)で0.4%となり、前期の同0.3%から0.1ポイント上昇した。プラス成長は8四半期連続。EU28カ国(アイルランド、ルーマニア、スロバキア以外は営業日数も調整済み)は横ばいの0.4%(同)だったものの、伸び率はユーロ圏同様、ドイツを上回った。

データの出そろっている19カ国のなかで伸び率が最も大きかったのはキプロスとルーマニアで、ともに1.6%に達した。これにブルガリア、スペインが0.9%、スロバキアが0.8%で続く。

成長率がマイナスとなったのはリトアニア(-0.6%)、エストニア(-0.3%)、ギリシャ(-0.2%)、フィンランド(-0.1%)の4カ国。このうちギリシャとフィンランドは2四半期連続のマイナスで、景気後退局面に突入した。

ドイツとスペイン以外の主要国の成長率はフランスが0.6%、英国とイタリアが各0.3%。フランスとイタリアは前期のゼロ成長から好転し、英国は同0.6%から鈍化した。フランスは石油安と税負担の軽減措置が追い風となり個人消費が大きく伸びた。