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2015/5/20

企業情報

メルク―ユーロ安で増収幅拡大―

この記事の要約

製薬・化学大手の独メルク(ダルムシュタット)が19日発表した2015年1-3月期(第1四半期)決算の売上高は前年同期比15.7%増の30億4,120万ユーロと大きく拡大した。ユーロ安が追い風となった格好で、営業利益(EB […]

製薬・化学大手の独メルク(ダルムシュタット)が19日発表した2015年1-3月期(第1四半期)決算の売上高は前年同期比15.7%増の30億4,120万ユーロと大きく拡大した。ユーロ安が追い風となった格好で、営業利益(EBITDA、特殊要因を除く)も5.7%増の8億5,300万ユーロに拡大した。最終利益は米試薬大手シグマ・アルドリッチの買収に向けた資金調達コストが響き13.4%減の2億8,170万ユーロに落ち込んだ。

最大の事業部門である製薬の売上高は7.4%増の17億ユーロに拡大したものの、為替の効果を除いた実質の増収率は0.3%にとどまった。主力製品である多発性硬化症治療薬「レビフ」とがん治療薬「アービタックス」の売り上げがそれぞれ16%減、6%減となったことが響いた。同社は販売体制を強化して巻き返しを図る考え。また、将来性に高いがん免疫治療薬の開発に今年は巨額資金を投じる方針だ。

15年12月期は売上高で123億~125億ユーロ(前期113億ユーロ)、EBITDA(調整前)で34億5,000万35億5,000万ユーロ(同33億8,000万ユーロ)を見込む。

シグマ・アルドリッチの買収計画についてはすでに米国の独禁当局から承認を得た。マルクス・クーネルト財務担当取締役によると、欧州連合(EU)の欧州委員会は懸念を示しているという。