ドイツ銀行が放出方針を打ち出したポストバンク(ボン)の買収を、オーストリアのリテール銀行BAWAG P.S.K.が検討しているもようだ。独『ヴェルト』紙などが15日、報じたもので、BAWAGはすでにドイツ銀に意向を伝えたという。両行はコメントを控えている。
ドイツ銀は4月下旬、ポストバンクへの出資比率を2016年末までに現在の96%強から50%未満に引き下げて連結対象から外す方針を明らかにした。将来的には全面撤退する考えで、市場での放出を念頭に置いている。ただ、買収の申し出があれば検討する姿勢もみせており、条件次第では売却に切り替える考えだ。
BAWAGは労組系金融機関の労働経済銀行とオーストリア・ポスト貯蓄銀行が05年に合併して成立した銀行。06年末からは米投資大手サーベラスの傘下に入っている。
ポストバンクとBAWAGはともにリテールを専門とする銀行で、事業モデルが似ている。このため買収のシナジー効果は大きく、サーベラスは将来、両行を高い金額で売却できるか公算が高まる。
独『マネージャー・マガチン』誌によると、BAWAGはポストバンク買収に最大45億ユーロを支払う考えという。BAWAGの総資産は350億ユーロで、ポストバンクの1,550億ユーロを大きく下回るものの、親会社のサーベラスは買収資金を調達できるとみられている。