電気通信事業者スイスコムは4日から14日にかけて、自動運転車のテスト走行を初めて実施した。自動運転車が通信網などに与える影響を調べることが狙い。自動運転車の利用は通信需要の拡大につながることから、ドイツテレコムなどの通信各社は新たな収益源の開拓に向けて同分野に参入している。
スイスコムはドイツのスタートアップ企業オートノモス・ラブスと共同で同テストを実施した。オートノモス・ラブスはベルリン自由大学からのスピンオフで、同社はフォルクスワーゲン(VW)の中型車「パサート」にセンサーやビデオカメラ、コンピューター、ソフトウエアを搭載した。テストは当局の承認を受けてチューリヒで行った。
スイスコムは同プロジェクトで、自動運転車が通信網にもたらす影響や、自動車とモノ、人間が行う通信を最適化する方法などを調べたい考えだ。自動車メーカーになる考えはないと強調している。
ドイツテレコムは昨年、自動車のチューニングを手がけるスイス企業リンスピードと共同で自動走行セダンの試作車「クスチェンジ(XchangE)」を発表した。車車間・路車間通信用のプラットホームも開発。昨年10月には同プラットホームの中国投入に向けて中国移動通信と提携した。
移動通信サービス大手の英ボーダフォンは昨年6月、伊コブラ・オートモーティブ・テクノロジーズを買収し、自動車向け通信サービス事業に参入した。