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2015/5/20

経済産業情報

ガス発電所建設へ、エネルギー事業者とキール市が合意

この記事の要約

独北部のキール市とエネルギー大手のMVVは15日、同市に熱電併給型のガス発電所を建設することで合意した。MVVは同計画に参加しない意向を表明していたが、熱電併給システムに対する助成の見通しがここにきて改善したため、方針を […]

独北部のキール市とエネルギー大手のMVVは15日、同市に熱電併給型のガス発電所を建設することで合意した。MVVは同計画に参加しない意向を表明していたが、熱電併給システムに対する助成の見通しがここにきて改善したため、方針を転換した。

キールのエネルギー供給は公益企業シュタットヴェルケ・キールが行っている。同社はMVVと市の合弁会社で、MVVは51%を出資。経営権を持つ。

シュタットヴェルケ・キールは市東部にある老朽化した石炭発電所を廃止し、跡地に最新のコンバインドサイクル発電所を建設する計画を作成した。だが、MVVは昨年4月、同発電所の建設に参加しない方針を市に通告。計画が宙に浮いていた。

MVVが参加を見合わせた背景には、連邦政府が新設の熱電併給システムに対する助成の削減方針を打ち出したためだ。事態を重くみたシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州のトルステン・アルビヒ州首相は4月、ジグマール・ガブリエル連邦経済相と直談判。同経済相からこれまで同様、助成を行うとの言質を取った。MVVはこれを受け、エネルギー政策の枠組み条件が改善したとして、建設参加を決めた。

新発電所の投資総額は2億8,000万ユーロ。2016年に着工し、18年に操業を開始する予定だ。7万世帯に供給を行う。

ドイツでは再生可能エネルギーを優先する「エネルギー転換政策」を受けて、火力発電の採算が悪化。新たな発電所を建設する動きが極度に鈍っている。