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2015/5/20

ゲシェフトフューラーの豆知識

祝日や病欠時の賃金支給ルール、最低賃金の受給者にも適用

この記事の要約

営業日が法定の祝日に重なった場合、雇用主は被用者に賃金を支払わねばならない。これは「祝日および病欠時の給与支払いに関する法律(EntgFG)」2条に明記されたルールである。同3条には被用者が病気で仕事を休んだときにも雇用 […]

営業日が法定の祝日に重なった場合、雇用主は被用者に賃金を支払わねばならない。これは「祝日および病欠時の給与支払いに関する法律(EntgFG)」2条に明記されたルールである。同3条には被用者が病気で仕事を休んだときにも雇用主は6週間を上限に給与を支給しなければならないと定められている。

ではこれらのルールは最低賃金の受給者にも適用されるのだろうか。この問題についてはこれまで、判例がなかったが、最高裁の連邦労働裁判所(BAG)は13日の判決(訴訟番号:10 AZR 191/14)で明確な判断を示した。

裁判は連邦雇用庁(BA)の委託を受けて失業者の職業教育を行う企業で教師として働いていた女性が同社を相手取って起こしたもの。同女性には業界の労使協定に基づく最低賃金(時給12.60ユーロ)が適用されていた。

被告企業は実際に仕事を行った時間については賃金を支払ったものの、祝日および病欠時は支払わなかった。労使協定にはこの問題についての取り決めがなかった。

被告はまた、原告が有給休暇を取得する際には最低賃金よりも低い賃金しか支払わなかった。その旨を労働契約で取り決めていたからである。

原告は退職後、これらを不当だと批判。賃金1,028.90ユーロが未払いになっているとして、その支払いを求める訴訟を起こした。

1、2審は原告勝訴を言い渡し、最終審のBAGも下級審の判断を支持した。判決理由でBAGの裁判官は、EntgFG2条、3条の規定は最低賃金の受給者にも適用されると指摘。また、有給休暇時の賃金を引き下げたことは、有給休暇取得時の給与・賃金は過去13週間の平均額に基づくとした有給休暇法(BUrlG)11条の規定に反するとの判断を示した。