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2015/5/27

ゲシェフトフューラーの豆知識

育休取得者の有給休暇削減ルールで最高裁判決

この記事の要約

雇用主は育児休暇を取得した被用者の年次有給休暇日数を月当たり12分の1削減することができる。これは有給休暇法(BEEG)17条1項に記されたルールである。例えば年次有給休暇の日数が20日の人が6カ月の育休を取得すれば、有 […]

雇用主は育児休暇を取得した被用者の年次有給休暇日数を月当たり12分の1削減することができる。これは有給休暇法(BEEG)17条1項に記されたルールである。例えば年次有給休暇の日数が20日の人が6カ月の育休を取得すれば、有給は10日に半減されることになる。

では、被用者が退職に際して未消化の有給休暇を現金に換算して支給することを雇用主に要求する場合、育休中の有給休暇はどのように取り扱われるのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が19日に判決(訴訟番号:9 AZR 725/13)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は老人ホームに勤務していた作業療法士が同ホームの運営事業者を相手取って起こしたもの。同療法士は出産に伴い2011年2月中旬から退職する12年5月15日にかけて育児休暇を取得した。退職後に未消化の有給休暇(2010~12年)を現金化して支給するよう同事業者に要求したところ、育休取得を理由に減額されたため、これを不当として提訴した。

原告療法士は1審で敗訴したものの、2審で逆転勝訴。最終審のBAGも育休取得を理由とする減額は不当だとする判決を言い渡した。判決理由で裁判官は、BEEG17条1項のルールは有給休暇の取得権が被用者にあることを前提にしていると指摘。雇用関係を解消し被用者が有給休暇の現金化を請求する場合はそうした前提がもはや存在しないため、同ルールは適用されないとの判断を示した。

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