欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2015/6/10

企業情報

シーメンス―過去最大の受注、エジプトから80億ユーロ―

この記事の要約

電機大手の独シーメンス(ミュンヘン)は3日、エジプト政府から熱電併給型ガス発電設備と風力発電設備を受注したと発表した。受注額は80億ユーロで、同社史上最大。これまではドイツ鉄道(DB)から受注した高速鉄道「ICx」の47 […]

電機大手の独シーメンス(ミュンヘン)は3日、エジプト政府から熱電併給型ガス発電設備と風力発電設備を受注したと発表した。受注額は80億ユーロで、同社史上最大。これまではドイツ鉄道(DB)から受注した高速鉄道「ICx」の47億ユーロが最高だった。エジプトのシシ大統領の訪独に合わせて同日、契約に調印した。

熱電併給型ガス発電所を現地提携先のエルスウェディ・エレクトリック、オラスコム建設と共同で計3カ所に建設する。各発電所はシーメンス製ガスタービン(Hクラス)をそれぞれ8基利用。発電容量は4.8ギガワット(GW)で、3カ所で計14.4GWに達する。

これら発電所の稼働は2017年夏以前に始まる。当初は計4.4GW体制でスタート。段階的に14.4GWへと引き上げていく。

シーメンスはこのほか、スエズ湾とナイル川西部に風力発電パークを最大12カ所、建設する。風力発電タービンは合わせて約600基で、合計の発電容量は2GWに上る。同国には風力発電用のブレード工場も設置して、最大1,000人を雇用する。

エジプトは政情が不安定で取引のリスクが大きいため、シーメンスは貿易保険を活用する。

シーメンスが受注したガス発電設備と風力発電タービンの発電容量は計16.4GWで、エジプトの発電能力はこれにより50%拡大する。同国は電力事情が悪く、停電が頻発しており、政府は発電、送電インフラを拡充することでこうした事態が起こらないようにする考えだ。今回の取引には設備の販売よりも利益率の高い保守サービスが含まれていない。シーメンスは今後、この分野でも同政府から受注を獲得する考えのようだ。