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2015/6/24

ゲシェフトフューラーの豆知識

従業員が座り込みの抗議、解雇は妥当か

この記事の要約

従業員が雇用主や上司に抗議して座り込み(シット・イン)を行った場合、どのような処分が妥当なのだろうか。この問題をめぐる係争でシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労働裁判所が6月に判決(訴訟番号:3 Sa 354/14)を下し […]

従業員が雇用主や上司に抗議して座り込み(シット・イン)を行った場合、どのような処分が妥当なのだろうか。この問題をめぐる係争でシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労働裁判所が6月に判決(訴訟番号:3 Sa 354/14)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は部下300人を抱える管理職の女性が雇用主を相手取って起こしたもの。同管理職は労使協定で取り決められた賃金表の最上位グループに入っていたが、賃金表の最高額よりも高い給与の支給を求めて上司と何度も交渉を行った。

ある日、支店長と交渉したものの、再び拒否され、支店長室から退出するよう要求された。同管理職はこれに対し、要求が受け入れられるまでは退出しないと主張し、座り込みを行った。支店長は困り果てて支店長室を出てしまった。

同管理職に対しては夫や従業員代表の事業所委員(Betriebsrat)が冷静になるよう呼びかけたが、効き目はなく、最終的に警察が出動。同管理職は警官に付き添われる形で抗議開始の3時間後にようやく退出した。

同管理職は翌日、同僚や取引先に電子メールを送信。事実関係をねじ曲げたうえで支店長を批判した。雇用主はこれを受けて、即時解雇を通告。念のために解雇予告期間を設定した通常解雇も通告した。

2審のシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労裁はこの裁判で、原告敗訴を言い渡した。判決理由で裁判官は、多数の部下を抱える上司である原告には模範的な行動が求められると指摘。また、支店長を電子メールで不当に批判したことも問題だとして、解雇はやむを得ないとの判断を示した。ただ、勤続期間が22年と長いことなどを踏まえると即時解雇は行き過ぎで、通常解雇が妥当だとした。